第6回 ノート展 キャラクター部門結果発表

第6回目のキャラクター部門は、コンドウアキ氏が審査を担当。リラックマなど多くの作品を生み出してきたコンドウ氏が意識したのは、使われ方と役割。晴れて各賞を勝ち取った作品を見てみよう。

【大賞】みずかみ いずみ

*作品講評*
かわいいですね。犬かキツネか読めない所に味がありますし、明確な意志で抑えた色数が目を惹き、世界観も広げています。口を描かないことで、控えめだけど彩りを添えるだけの感情を出している点、どんな動きでもこの子とわかるブレのなさと、バランス感の良さをすごく感じました。これしかないという感じの大賞です。

【準大賞】林ちよ

*作品講評*
仲間もいるし物語性がすごく強い。幅広い動きができそうだと感じました。ただ掲載される本誌の読者層に対し、若干幼い印象があったので準大賞としました。単体での仕上がりは大賞と並ぶ完成度ですし、動きも幅広そうなだけに惜しいですね。いろいろ描ける方だと思いますので、他の作品も見たいなあと思いました。

【準大賞】おかもとせいこ

*作品講評*
タッチもかわいく存在感もある。技術面では大賞レベルなのですが、顔の白さと口の黒の対比が若干強すぎる印象です。あえて白を塗ったとしたら、青み寄りの暗いグレーの台紙ではないほうがよかったのでは。台紙選び、白を塗るかどうか、白の調子などいろいろ試された上での選択だったかどうかが気になる所です。

【入選】桃原なちか

*作品講評*
パッと見で寂しさが明確に伝わってきたのですごいと思いました。相当な表現力がある方です。形も色選びも目の印象もすべてぴったり、非常にわかりやすいのですが、このトーンで一年間誌面のナビをするには寂しすぎますよね。レベルは高い方なので、あとは活かす場所や用途を意識されるといいと思います。

【入選】NIHONBARE

*作品講評*
どちらも何かを含んでいそうなのでチームで選びました。ただこの作品だけだと他のポーズに対応できるか不安があるし、服の裾のラインなど細部の甘さも少し気になるんですよね。目を惹くセンスはお持ちなので、そこを活かしつつ「いつどう描いても整合性が取れる」形を意識してたくさん描いてみてほしいです。

【入選】片倉 航

*作品講評*
おしゃれですよね。色もかわいくていいグッズができそうです。ただ誌面でどう動くか想像できなかったので、もう少しポーズが見たかったですね。上手な方なので対応できそうですけど、多くの作品が並ぶ審査会では動きや性格を一瞬で伝えられるような気配りも必要だと思うんです。1枚の絵からの情報からどれだけ想像させられるかも大事ですね。

【入選】すがはらゆうた

*作品講評*
これも寂しげなんですよね。作家性の強い方で目を惹かれるのですが、背景で意味を足しすぎている感じがします。恐らく物語があって心情なども設定されていると思いますが、もっとシンプルにキャラクターを出されたほうがよかったのでは。存在感を活かして絵本などを描かれたら新たな展開が生まれそうです。

【入選】澤田久奈

*作品講評*
すごく気になった作品です。いろんな動きもできそうだし誌面を彩ってくれそうだけど、アクが少し強すぎて悪目立ちしそうかなと。ただその強度を元に可能性を評価しました。誌面を紹介するという用途や雑誌の雰囲気などがっちり考えてつくられたらまた全然違うものができそう。上手な方なので今後も楽しみです。

【編集部賞】川元日花里

*作品講評*
既視感はあるものの、初見で魅了されました。ちょっと意地悪だけどいい奴、そんな性格を感じさせる媚びないキャラクターとして、機能しそうです。アパレルやステーショナリーとして展開できる可能性を感じます。

●審査総評●

楽しく審査させていただきましたが、自分の描きたいものを優先した作品が多かったように感じました。技術的に上手でも、相手の要求を汲もうとする意識が弱いものはキャラクターとしても弱くなります。今回であれば誌面でナビをする必要があるので、動きを想像できることが必須です。依頼を受けて描くキャラクターは使われてナンボ。相手の要望が何か、どんな要素が必要なのかを一番に考えて描くことを大事にしてほしいと思います。

■審査員PROFILE

イラストレーター 
コンドウアキ氏

文具会社入社後、「リラックマ」などのキャラクター原案と商品デザインを担当する。2003年に独立。イラストレーターとして「うさぎのモフィ」などのキャラクターデザインやマンガ制作、女子美術大学での講義など幅広く活動。

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