第5回 ノート展 キャラクター部門結果発表

テーマは自由ながら「“ひと目見て、興味がわいて、飽きがこない”キャラクターに出会いたい」という思いを掲げていた合田経郎氏。そんな氏が選出した第5 回キャラクター部門の各受賞作品を見ていこう。

【大賞】まるやまなお

*作品講評

キャラクターの面白さ、覚えやすさやシンプルさはもちろんですが、背景や性格などが知りたくなる強さが作品に感じられました。よいキャラクターは「この子は何だろう?」と思わせる何かを持っていますが、その部分が応募作の中で最も強かった。このスカートっぽい柄物も興味をそそるという意味では効を奏しています。本当は描き足りていないだけかもしれないですが…。

【準大賞】おかもと せいこ

*作品講評

これでもかというほどのゆるさがいいですね。既視感は多少ありますが、この雰囲気が好きで信じてずっとやってきた方であることがよく伝わります。世界観も想像しやすく完成された作品だと思います。

【準大賞】桃原なちか

*作品講評

手がない造形、背景とも身体とも付かない見た目が妙に気になりました。適当につくったのかとも思えるシンプルさが面白く、色づかいにはセンスが感じられます。着ぐるみなどを見てみたいですね。

【入選】西村晴菜

*作品講評

2匹の猿の関係性に興味を惹かれました。カラーから白黒まで、B全から名刺サイズまでアイコン的に登場するキャラクターの機能面を考えると使う所は限定されそうですが、お芝居をする劇場などに合いそうです。

【入選】八木多美子

*作品講評

絵としてかわいいですよね。選考基準とは矛盾しますが、明快な線や覚えやすさとはまた違う、こういうイラストレーション的なキャラクターが活躍する様子も見てみたいなと。乗り物もどこか不思議で面白いです。

【入選】モリタヒロユキ

*作品講評

もじゃが形を変えて文字にいたずらをするというアイデアや機能性がある所がいいですね。変身例をもっと見たかったかな。その部分にはたくさんアイデアを盛り込めそうだし、それによってさらに作品が面白くなると思います。

【入選】K

*作品講評

商品に顔をつけるという超定番の方法に真っ向から取り組んでいる点に好感が持てました。きちんとおいしそうで、絵としても楽しさがある。ストレートなものづくりの心を再確認させてくれた作品です。

【入選】雲坂紘巳

*作品講評

世界観もキャラクターもつくりこまれていて面白いです。世界観を知りたいと思った時に答えが用意されているか否かは、キャラクターを展開させる上で重要な部分です。そこまで考えてプレゼンテーションされていたのはこの作品くらいでした。

【編集部賞】にしまた ひろし

*作品講評

ファーストインプレッションで選びました。既視感はあれ、こんなメガネが売ってるとかわいいなと思わせる表情などイラストレーションとしての面白みと、その後の展開を想像させる魅力が感じられました。

* 審査総評 *

テーマを設定しなかったからか、全体的に自由さが感じられましたね。ただその分、どんな思いや狙いでつくったのかが見えない作品が多かった気もします。愛されるキャラクターとは、機能や理屈を満たしつつ、人が好ましく感じる要素を併せ持つものなのでは。自由すぎても視点がぼやけてしまう、そこがイラストレーションとキャラクターデザインの違いだと思います。正解は一つではありません。楽しみつつ、狙いや表現、プレゼンテーションに至るまで丁寧に詰めてキャラクターづくりをしてほしいと思います。

■審査員PROFILE

アニメーション作家
合田経郎 氏

CMディレクターとして演出家のキャリアをスタート。1998年、NHK-BSキャラクター「どーもくん」のデビューを機に徐々に活動の場をアニメーションへと広げ、2003年にこま撮りを中心としたアニメーションスタジオ『ドワーフ』を立ち上げる。「どーもくん」や「こまねこ」など、こま撮り作品を制作する傍ら、イラストレーション、絵本の執筆など創作活動は多岐に渡る。2011年、サンディエゴで開催されたコミコンで、マンガ・アニメなどのアメリカンポップカルチャーにおいて際立った業績を残した人物に贈られる「ink-pot賞」を受賞。

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